全身を凍らせるお化けの冷たさ
どんな伝承か
お化けがどれくらい冷たいものであるかは、実際に出会った者でなければ分からない、と著者は書く。著者の場合は夏の午前三時三十分、ベッドに寝ていると、寒いんです、とても寒いんですと言いながら、お化けが左の脇腹へ音もなくシューッと入ってきた。思わず言葉にならない叫び声を上げてしまった。その冷たさは、素っ裸で氷風呂に投げ込まれたようで、全身が一瞬で凍りそうであった。もしお化けの体だけが冷たいのであれば、触られた左上半身だけが冷えるはずなのに、なぜ体の隅々まで息の止まるほど冷えたのか。お化けの持つ霊気が冷気を呼び、あたり一面を瞬時に冷却させるためではないかという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生や霊魂論に始まり、青森県内を中心とする心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、著者や知人が語る幽霊の体験談、江戸時代の『北越奇談』を著者が現代文に訳した天狗や鎌鼬の話を収める。問答の形でお化けを語る節、幽霊の存否論・分類・人相学、心理学者による心霊現象の否定を経て、巻末に心霊用語の解説を付す。