階段から突き落とす床下の墓石
どんな伝承か
化物などないと言い張る語り手を、待合の女将の亭主である山田が自宅へ招いた。二階で暗闇のまま一時間待っても何も出ないので下りようとすると、階子段に足をかけた途端、襟元から水を浴びせられたような寒気がし、後ろから突き倒されるように階段を転げ落ちた。二度試しても同じであった。のちに山田が有名な者に見てもらうと、階段の左側の下に墓石が使ってあるといわれ、根太板を外して調べたところ果たして墓石が使われていた。石を取り替えてからは何の怪しみもなくなったという。
原典より
そこで、家だと相談して、根だ板をはなして検査したところが、不思議に墓石が使用してあつた—— 実説妖怪新百話 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
実説妖怪新百話
『実説妖怪新百話』は、著者名の記されない怪談集で、日露戦争の後に編まれたとみられる。本郷駒込曙町の世外庵に住む天保初年生まれの老翁の勧めで、門下生三十六人が籤で順番を決めて百物語の会を開き、自分の見聞や親・知人から聞いた話を語る趣向をとる。武家の妻の執念、化物屋敷、狐狸の化かし、前妻のたたり、漁師の幽霊の帰宅などを、会津・三河・東京・房州館山・野辺地・若狭小浜・盛岡などを舞台に題ごとに並べる。