女行者の透視と守護霊の霊視体験
どんな伝承か
大正四年の春、横須賀に暮らしていた著者浅野和三郎の三男三郎が原因の分からない微熱を出し、半年たっても下がらなかった。秋になって妻がひそかに女行者石井ふゆのもとへ子を連れて行くと、ふゆは気管支の上の方に豆粒ほどの傷があると体の内を見通し、十一月四日に治ると告げた。半信半疑で訪ねた著者の前でも、ふゆは家で飲ませた薬や下女が失くした簪のありかを言い当て、約束の日には本当に熱が引いた。翌大正五年の春、著者は同僚の宮澤虎雄理学士に憑いた守護霊に鎮魂され、蒼く澄んだ光の中に衣冠束帯の人影を見て、それが自分の守護霊だと告げられた。不可知論者だった著者が霊魂を信じるに至った体験である。
原典より
第一に私をして靈視能力の存在を信ぜしめたのは、当時横須賀に住んで居た石井ふゆといふ女行者で、私の三男の病源を的確に透視したのでした。—— 心靈講座(浅野和三郎・心霊研究・講座・1928年(昭和3年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心靈講座(浅野和三郎・心霊研究・講座・1928年(昭和3年))
『心靈講座』は、浅野和三郎が昭和三年に著した心霊研究の講義書である。催眠現象から人間に霊魂が宿ることを説き起こし、欧米の心霊研究の歩みをたどったうえで、物質化・心霊写真・直接談話・卓子浮揚・物品引寄・霊視・霊言・自動書記の各現象を、クルックスやモーゼスらの実験と記録に拠って検討する。第一講から第十講までと結論から成り、結論では心霊研究が人生や信仰に及ぼす影響を論じ、新霊魂説の七大綱領の訳を載せる。