宮澤理学士の口から出た謎の霊言
どんな伝承か
大正五年の春、横須賀に勤めていた著者浅野和三郎は、女行者石井ふゆを通じて心霊の世界に目を開かれ、同僚の海軍将校や文官を自宅の書斎に集めて鎮魂の修行を重ねていた。仲間のうち最も霊媒の素質があった宮澤理学士は、修行の二夜目に全身をこわばらせ、唇を激しく動かしたかと思うと、腹の底から爆発するような大声で「カラカラ、クルクル、ロクロク、チャ」と三度繰り返した。近所の人々が驚いて外へ飛び出し、門前に数十人が集まるほどの声だったという。我に返った宮澤は、こらえたが口をこじ開けられたと語った。文句の意味は十余年後も分からないが、著者は本人の潜在意識ではなく別の人格の意思によるものと見た。
原典より
かくて宮澤氏が完全に發動して、實に紛ふ方なき靈言現象が突發したのは、實に鎮魂實修第二夜の出来事でありました。—— 心靈講座(浅野和三郎・心霊研究・講座・1928年(昭和3年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心靈講座(浅野和三郎・心霊研究・講座・1928年(昭和3年))
『心靈講座』は、浅野和三郎が昭和三年に著した心霊研究の講義書である。催眠現象から人間に霊魂が宿ることを説き起こし、欧米の心霊研究の歩みをたどったうえで、物質化・心霊写真・直接談話・卓子浮揚・物品引寄・霊視・霊言・自動書記の各現象を、クルックスやモーゼスらの実験と記録に拠って検討する。第一講から第十講までと結論から成り、結論では心霊研究が人生や信仰に及ぼす影響を論じ、新霊魂説の七大綱領の訳を載せる。