松原長湖のきつね火
どんな伝承か
松原で屋号を大門という家では、先代が座繰りで糸を取っていた。秋口になると母が、今夜は狐火がともるよと言うので、眠い目をこすりながら外へ出てみると、長湖の向こう岸に青白い火がいくつもちらちらと光っていた。座繰りのときにこぼれた蚕のさなぎを食べに、狐が群れをなしてやって来るのだという。
原典より
秋口に母が「今夜は狐火がともるぞよ」というので、目をこすりこすり外へ出ると、長湖の対岸に青白く火が幾つかちらちら光っていた。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。