参らぬ者に病をはやらせた天王様
どんな伝承か
上稲葉の吉次内にある渡辺家の氏神、天王様には祟りの言い伝えがある。昔の稲葉には天王様がなかったので、渡辺家の天王様を村の神として村じゅうでお参りしていた。ところがある年、一人だけお参りしなかった者がいた。その年、稲葉に病気がはやって病人が大勢出たので祈祷してもらうと、参らなかった者がいるから神が怒って病をはやらせたのだと告げられた。村人がまたこぞって参るようになると、それからは稲葉に疫病神が来なくなったという。この天王様は気の荒い神で、少しのことでへそを曲げるといわれ、いまも神輿やお囃子が必ずお参りに来る。
原典より
その年、この稲葉に病気が流行って、病人がたくさん出た。—— 壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史)
『壬生町史 民俗編――伝説』は、壬生町史民俗編のうち昔話と伝説の章を収めたものである。町史編さんの調査で町内の古老から集めた昔話を方言を生かして再話し、話者名を添えて動物昔話・完形昔話・笑い話・世間話に分けて並べる。伝説は吉次の墓・親抱きの松・大御堂などを動植物・歴史上の人物・塚と渕・神仏・地名に分け、地元の伝承に『郷土誌』『壬生領史略』などの文献からの引用を交えて載せ、一部の話に解説を付す。