鼻を欠かれて祟った流れ地蔵
どんな伝承か
昔、小倉川の上流から小さな石の地蔵が稲葉の河原に流れ着き、村人が拾い上げて祀った。これが流れ地蔵の名の起こりという。後のある時、家中村の縄を商う商人が馬で荷を運んでいて、この地蔵の前で荷を倒してしまった。縁起でもないと腹を立てた商人が石を投げつけると、石は地蔵の鼻に当たって鼻が欠け、それから鼻かけ地蔵とも呼ばれるようになった。その後、商人はコレラにかかって苦しみ、祈祷を頼むと、地蔵の鼻を欠いた祟りだと告げられた。地蔵にわびると病は治り、商人はそのお礼に堂を建てたという。
原典より
この商人はこのことをした後、火の病(コレラ)に羅り苦しみ、祈祷してもらったところ、地蔵の鼻を欠いたので地蔵に崇られているというお告をうけた。—— 壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史)
『壬生町史 民俗編――伝説』は、壬生町史民俗編のうち昔話と伝説の章を収めたものである。町史編さんの調査で町内の古老から集めた昔話を方言を生かして再話し、話者名を添えて動物昔話・完形昔話・笑い話・世間話に分けて並べる。伝説は吉次の墓・親抱きの松・大御堂などを動植物・歴史上の人物・塚と渕・神仏・地名に分け、地元の伝承に『郷土誌』『壬生領史略』などの文献からの引用を交えて載せ、一部の話に解説を付す。