食用がえるの正体さがし
どんな伝承か
大正の初めごろ、神田町の草深い堀から、夜ごと牛の鳴き声に似たうめき声が聞こえ、さまざまなうわさが立って人々は不安になった。男たちが大勢で正体を確かめようと夕方の堀端に集まったところへ、買ったばかりの自転車で大宮の客先から帰る人がふらふらと通りかかった。人だかりに気を取られて石にぶつかり、自転車ごと川へ転落すると、その水音に男たちは出たと叫んで逃げ散り、落ちた人が助けを呼んでも誰も戻らなかった。後になって、声の主は食用蛙だったと分かったという。
原典より
後日、牛に似た声は、食用蛙という蛙の鳴き声であることがわかった。—— 栃木市史 民俗編――伝説・民話(栃木市(編)・栃木市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
栃木市史 民俗編――伝説・民話(栃木市(編)・栃木市史)
『栃木市史 民俗編――伝説・民話』は、市史民俗編の第九章「言語伝承」のうち「伝説・民話」と「木遣り」の二節である。芝塚山の太刀割り石、有馬皇子とこのしろ、源義家や弘法大師にまつわる地名伝説、狐の嫁入りやむじなの怪、あづきっとぎなど、市内に伝わる伝説・民話と昔の子供の思い出を収める。前半の十一話には末尾に原話者(一部は採話者も)の名を記し、節の終わりに鳶の木遣りと田歌の詞章を載せる。