竹やぶに響くいすずばあさんの臼
どんな伝承か
昔、雷神社のそばの竹やぶに、いすずばあさんと呼ばれる年寄りが一人で住んでいた。歯が弱く、山で拾った栗やどんぐり、粟や稗を石臼(いすず)ですって食べていたので、夕方になると竹やぶからゴリゴリと臼の音がした。村人はその音を合図に子どもを家に帰らせた。ある年の飢饉で、体の不自由なばあさんは食べ物を十分に拾えず、空の石臼に覆いかぶさるようにやせ細って死んでいた。その後も日が暮れると竹やぶから臼の音が聞こえ、村人は子どもに早く帰れと言ったという。
原典より
それから後も、暗くなると、雷神社のそばの竹やぶから、「ゴーリゴリ、ゴーリゴリ」と石臼の音がしてきたそうです。—— 真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史)
『真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話』は、栃木県真岡市の市史民俗編から、第十四章「口頭伝承」の第一節「伝説・昔話」を収めたものである。大だら法師の足跡、釜淵の燈籠、大前堰の人柱、へび娘など、五行川・鬼怒川・小貝川の淵や沼、社寺にまつわる伝説と、タヌキやキツネに化かされた話を、既刊の民話集・伝説集と新たな採話から集める。冒頭に口頭伝承の参考文献を掲げ、各話の末尾に典拠を記し、結びの「まとめ」で話を河川・社寺・沼・動物の別に整理する。