琵琶峰に響く盲法師の琵琶
どんな伝承か
鬼怒川東岸の柳原のあたりで、月の明るい夜にみごとな琵琶の音が聞こえるようになった。村人が三人で音をたどると、絶壁のすぐ東の林の小屋で、盲目の法師が一心に琵琶を弾いていた。法師は美しい妻に手を引かれてやって来たが、やがて妻の姿は消え、まもなく法師は鬼怒川の高い崖から身を投げた。以来そこは琵琶峰(琵琶坊)と呼ばれ、月夜には崖の上に座って琵琶を弾く法師の姿がぼんやり浮かび、その音が聞こえたというが、いつしかそれも絶えた。
原典より
そして、月の明るい夜には、その琵琶峰から、あの盲法師の弾く琵琶の音が聞こえたんだとさ。—— 真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史)
『真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話』は、栃木県真岡市の市史民俗編から、第十四章「口頭伝承」の第一節「伝説・昔話」を収めたものである。大だら法師の足跡、釜淵の燈籠、大前堰の人柱、へび娘など、五行川・鬼怒川・小貝川の淵や沼、社寺にまつわる伝説と、タヌキやキツネに化かされた話を、既刊の民話集・伝説集と新たな採話から集める。冒頭に口頭伝承の参考文献を掲げ、各話の末尾に典拠を記し、結びの「まとめ」で話を河川・社寺・沼・動物の別に整理する。