大前神社の大蛇と伝四郎の出世
どんな伝承か
昔、真岡の荒町に三升屋という商家があったが、地主をしていた一家は没落し、そこに伝四郎という息子がいた。伝四郎は、大前神社の拝殿に大蛇が現れたときすぐ上京すれば必ず出世すると古老から聞き、貧しくて祭りのまんじゅうも買えない中、毎月一日と十五日の参拝を欠かさなかった。ある朝、神殿に大蛇がからみついているのを見て、十三歳で一円をもらい小山まで歩いて東京へ出た。深川の材木屋で奉公して番頭にまで出世し、以後毎年十一月の大前まちに礼参りに帰り、八十余歳まで五十回に及んだという。
原典より
ところがある朝大前神社にお参りすると、神殿に大蛇がからみついていたのだそうだ。—— 真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史)
『真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話』は、栃木県真岡市の市史民俗編から、第十四章「口頭伝承」の第一節「伝説・昔話」を収めたものである。大だら法師の足跡、釜淵の燈籠、大前堰の人柱、へび娘など、五行川・鬼怒川・小貝川の淵や沼、社寺にまつわる伝説と、タヌキやキツネに化かされた話を、既刊の民話集・伝説集と新たな採話から集める。冒頭に口頭伝承の参考文献を掲げ、各話の末尾に典拠を記し、結びの「まとめ」で話を河川・社寺・沼・動物の別に整理する。