狐が名付けた瑞光寺と硯石
どんな伝承か
昔、日照り続きのころ、山へ薪を取りに行った人が妙な音を聞き、村人が寺の境内へ行ってみると、狐と狸が本堂の障子のあたりで音を立てていた。狐が戸の節穴に尻尾を差し込んですり合わせ、ズイコウ、ズイコウと鳴らしていたので、村人はその寺を瑞光寺と呼ぶようになったという。また、山で狐と狸の後をついて行った人が、硯の形をした大きな石を見つけた。そのくぼみにはどんな日照りでも水がたまっており、村人は日照りの年にその水でのどをうるおした。今もこの石を硯石と呼び、日照りには雨乞いをするという。
原典より
その音を聞くと、「ズイコウ、ズイコウ」という音がしていたとよ。—— 真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史)
『真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話』は、栃木県真岡市の市史民俗編から、第十四章「口頭伝承」の第一節「伝説・昔話」を収めたものである。大だら法師の足跡、釜淵の燈籠、大前堰の人柱、へび娘など、五行川・鬼怒川・小貝川の淵や沼、社寺にまつわる伝説と、タヌキやキツネに化かされた話を、既刊の民話集・伝説集と新たな採話から集める。冒頭に口頭伝承の参考文献を掲げ、各話の末尾に典拠を記し、結びの「まとめ」で話を河川・社寺・沼・動物の別に整理する。