胡瓜を植えると主の眼が曇る家
どんな伝承か
池子に住みついた左近将監という身分の高い武士が、慣れない炎天下の胡瓜畑で熱病に倒れた。氏神の三島神社に祈っても容体は良くならず、胡瓜畑で倒れたのだからと子々孫々まで胡瓜を作らないと誓って祈ると、病は快方に向かったという。以来この家は胡瓜を植えも食べもしなかった。文明開化のころ試しに種を蒔くと、苗が伸びたある夜、主が急に眼が見えないと言い出し、母親が苗を抜き捨てると治った。のちに家が大船の植木へ移ってから再び植えると、主の眼がまたかすみ、抜くと元に戻った。二度も同じことが起きたので、この家では今も胡瓜を作らないという。
原典より
ある夜その家の主が急に「眼が見えなくなった」と言い出した。—— 逗子市史 別編1 民俗編――伝説(逗子市(編)・逗子市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
逗子市史 別編1 民俗編――伝説(逗子市(編)・逗子市史)
『逗子市史 別編1 民俗編――伝説』は、逗子市の市史のうち、別編第一巻の民俗編にあたる巻の一部である。池子・沼間・桜山・小坪・久木・山の根など市内の土地に伝わる伝説を収め、和泉から来た一行が金を埋めたという金山権現、行基の十一面観音と大蛇、六代御前の墓、為朝の矢の根井戸、頼朝と新箸の宮、河童松、お夏狐などの話を記す。伝説の章の末に河童や狐、庚申の夜の短い話を添え、続く方言・訛語の章では逗子の語彙を五十音順に並べる。