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沼の主の子を流した端午のショウブとヨモギ

所在地埼玉県加須市
年代不明
登場松井庫之助、語り手
出典騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪

どんな伝承か

ある名主に美しい一人娘がいて、婿を迎える年頃になったが、近ごろは寝たり起きたりで食も細り、どの医者に診せてもやせていくばかりだった。ある日、名主が一人で大沼のほとりを歩いていると、沼の底から、名主の娘に自分の子を宿させたが、五月五日にショウブとヨモギを煎じて飲まれたら子が流れてしまう、という声がした。娘を問いただすと、数か月前の晩に美しい若者が来て泊まっていったという。名主は、あの大沼には昔から主がいると言われていたのを思い出し、その大蛇の仕業と見て、五月五日に煎じ薬を飲ませて子を下ろし、村人と火薬を投げ込んで大蛇を退治した。娘は元気を取り戻し、それから五月の節句にはショウブとヨモギを軒に挿し、菖蒲湯や菖蒲酒を楽しむようになったという。

原典より

その後、娘もすっかり元気になり、それからというもの、村の人々は五月の節句になると、ショウブとヨモギを軒にさし、ショウブ湯に入り、ショウブ酒をのむようになりました。—— 騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史)

『騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪』は、騎西町が編んだ町史民俗編のうち、方言一覧の末尾と第9章「伝説・昔話」を収めたものである。調査協力委員や地域の老人クラブを通じて集めた二十八話で、久伊豆明神(玉敷神社)の獅子、雷電社の雨乞い、和尚の説話、いぼとり地蔵、入定塚、念仏橋、狐やムジナに化かされた話などを、話者名や郷土誌の出典を添えて載せる。章のはじめに伝説と昔話の違いを述べ、神社・寺堂・塚と橋・行事のいわれ・妖怪談の五節に分ける。

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