焼け跡の梅に光った存良の袈裟
どんな伝承か
小南村の医者岩瀬道庵の次男に生まれた存良は、幼いころから並外れて賢く、天神様の生まれ変わりかと里人に恐れられた。鹿の戸の妙幢院で僧となると、どんな大部の書物も一度目を通せば覚えてしまい、本屋で立ち読みしただけで中身を記憶して買わずに帰るので「買わずの存良」と呼ばれた。江戸を経て京都智積院の役僧となり、のち妙幢院の第九世を継いで宝永二年に没した。大僧正として用いた袈裟は生家に贈られていたが、百年余り後の文化の末に家が火事で焼け、袈裟も失われた。ところが翌年四月八日の朝、その袈裟が庭の梅の枝に掛かって光を放ち、中央の梵字の部分だけが残っていたという。
原典より
明くる年の四月八日(灌仏会 はなまつり)の朝、かの「けさ」が庭の梅の枝にかかって光をはなっていた。—— 東庄町史 下巻(東庄町) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東庄町史 下巻(東庄町)
『東庄町史 下巻』は、下総の香取郡東庄にあたる千葉県東庄町の町史下巻のうち、「民話・伝説」の項である。須賀山の地名伝説、高部と羽計の狐の祝言、城山の大蛇、花香稲荷縁起、黒部川と児塚の由来、干潟十八ヶ村の名付け、姥捨ての定命窪など十五の項を収め、小南の七不思議や東庄七井の一覧も含む。半数あまりの項に伝承地の区名を添え、『かぎろひ』記念特集号や『県民の森の歌』、「上代郷明細記」「東荘志」、旧家文書などの出典を記す。