三島からの山道に現れた兵隊の霊
どんな伝承か
大阪での生放送を終えた夜、稲川淳二は伊豆の伊東で友人と会うため、人形を抱えた人形師を誘って新幹線に乗った。ところが二時間もかからないはずの列車がなかなか着かず、三島駅に着いたのは真夜中だった。迎えの車で宿へ向かう山道では、前方を白い影が何度も横切り、道の水たまりが赤く見えた。運転席わきのガラスの外に戦時中の兵隊のような男が立ち、宙を泳ぐような格好でこちらへ向かってきたので、一同は叫び声を上げ、そのまま宿へ直行したという。
原典より
よく見ると、ウインドーガラスの外に、戦争中の兵隊のような格好をした男が立っていて、そいつがいきなり、宙を泳ぐような格好でぼくらのほうへ、ヒューッと向かってきたんです。—— 私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。