火事前に四股を踏む彦根の宿主
どんな伝承か
明治四十三年八月、著者は夏期講習会の講師として滋賀の彦根に出向き、楽々園という宿屋に泊まった。その宿の主人は、町で火事が起きてもすぐには駆けつけないと語った。まず茶碗一杯の水を飲み、四股を三、四回踏んでから出かける。そうすると途中で人とぶつかっても、相手は仰向けに倒れるが自分は倒れないのだという。著者はこの話に感心し、火事のときに人は慌てて心身とも虚になるが、四股で下腹に力を込めて精神を実にしておけば、落ち着いて機敏に動けるはずだと述べている。
原典より
先ず茶碗に水一杯を飲み、四股を三、四回踏み、そしてから出掛けます。—— 観念は生物なり(福来友吉・心霊・念写研究) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
観念は生物なり(福来友吉・心霊・念写研究)
『観念は生物なり』は、福来友吉が諸雑誌に発表した論文を集めた心理学と心霊研究の論集で、日本心霊学会刊、序は大正十四年春に箕面山の麓で記されている。観念と身体の関係、夢、潜在精神と病気、プランセット(自動書記)、狐憑病の伝染や尼寺のヒステリー、宮本武蔵の剣道などを論じる。明治四十三年以来接した御船千鶴子・長尾郁子・三田光一ら八人の通力者の透視と念写の実験も報告し、「観念と身体との関係」から「生命学と心霊研究」までの十四篇を収める。