柚子の木の皮を打ち鳴らすむじな
どんな伝承か
佐倉の町方に伝わるむじなの話。加藤貞雄さんの母親が一人で留守番をしながら、かまどの焙烙でゴマを炒っていると、背後に気配がした。振り返ると一匹のむじなが土間に入り込み、ゴマの香りをかいでいる。カマ棒で頭をこつんとたたくと、むじなは倒れて死んだふりをしたので、たすきで縛って柱につなぎ、帰ってきた夫がたぬき汁にした。毛皮は中庭の柚子の木に下げておいたが、夜中に鈍い太鼓のような音がするので戸の隙間からのぞくと、別のむじなが後足で立ち、吊られた皮を前足で打ち鳴らしていた。これも捕らえて皮を同じ木に下げ、そんなことが何度も続いて、むじながたくさん捕れたという。
原典より
戸を細めにあけてのぞいて見ると、何としたことか、一匹のむじなが、柚子の木にさげたむじなの皮を、後足で立って、前足でたたいているのである。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。