餅で死んだ女中の蘇生と二つの五輪塔
どんな伝承か
三夜沢の斉藤某という家に霜月道者が訪れたので、石臼でたくさんの餅を搗いてもてなすことになった。搗くのを手伝っていた女中が、こっそり餅を口に入れたところ喉に詰まらせ、そのまま息が絶えてしまった。正月を控えて忙しかった家では、急いで穴を掘って女中を埋めた。ところが家の番頭はこの女中に惚れており、恋しさに耐えかねて墓へ行き、穴を掘り返した。髪がのぞいたので顔も見たいと引っぱると、喉につかえていた餅が下りて女中は息を吹き返した。二人はやがてめでたく夫婦になり、いまもツカバタケという所には二つの五輪塔が残っているという。
原典より
ところがそこの家の番頭さんがその女中にほれこんでいたので墓地に行き、恋しくなったので穴を掘って女中の髪の毛を見て、顔も見てえとその髪をひっぱったところ、のどにつかえた餅がおりて息をふきかえした。—— 宮城村の民俗――伝説・口頭伝承(群馬県民俗調査報告書 第23集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城村の民俗――伝説・口頭伝承(群馬県民俗調査報告書 第23集・群馬県民俗調査報告書)
『宮城村の民俗――伝説・口頭伝承』は、群馬県民俗調査報告書の第二十三集として宮城村の民俗をまとめた報告のうち、「口頭伝承」の章の「はじめに」と伝説・昔話の部分を収めたものである。赤城の麓の柏倉・三夜沢・鼻毛石・苗ヶ島・大前田などで聞いた話を、語り口を残した聞き書きと短くまとめた条とで記し、採集地を括弧で添える。俵藤太のムカデ退治や小沼の主となった赤堀道元の娘、地名や石の由来の伝説に続き、食わず女房や馬鹿婿などの昔話を並べる。