日蓮が駒をつないだ安産のケヤキ
どんな伝承か
調神社の境内の南西の隅に、日蓮上人が駒をつないだと伝えられるケヤキの巨木が立っている。ケヤキの古木が多いこの社の林のなかでも最大のもので、幹回りは七・八メートルに及ぶ。佐渡へ流される途中の日蓮が岸村を通りかかったとき、名主青山家の妻女がお産に難渋しており、助けを求められた。日蓮はこの木に馬をつなぎ、根元に曼陀羅を掲げて祈ったところ、妻女はその日のうちに男の子を楽に産んだという。それ以来ケヤキには注連縄が張られ、安産を守る神木とされた。腹帯に題目を書いて授けたとする話や、難産の女性を新倉の領主墨田五郎時光の妻とする異説もある。
原典より
上人は調神社のケヤキに駒をつなぎ、木の下に曼陀羅をかかげ、安産を祈とうすると一日にして男児をたやすく分娩したという。—— 浦和市史 民俗編――伝説(浦和市(編)・浦和市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
浦和市史 民俗編――伝説(浦和市(編)・浦和市史)
『浦和市史 民俗編――伝説』は、浦和市史の民俗編のうち、第十章「伝説」を収めた部分である。調神社の片目の鯉や兎を飼わない言い伝え、日蓮上人の駒つなぎのケヤキ、見沼の竜神や笛、別所沼の大蛇、地名や塚の由来、特定の作物や弓矢を忌む家の言い伝えなど、市内に伝わる伝説を集める。旧市部から西浦和まで地区別に節を立て、見沼の伝説は一節にまとめ、章の初めに『埼玉県伝説集成』などの引用文献を掲げ、話のあとに▽印で異説や由来を補う。