木魚に化けた子狸と板碑の母狸
どんな伝承か
村田にあった天台宗の善覚院の裏山に、狸の親子が住んでいた。年老いた母狸のために、子狸は鳥屋に化けて村の茂十の家から鶏をだまし取り、代金は木の葉を化かした金だった。次に鯉をねだられた子狸は農夫に化けて鯉を手に入れたが、隣村の堀籠で犬に吠えられ、寺の本堂に逃げ込んで木魚に化けた。木魚が二つあるのを怪しんだ和尚は、鯉の尾が出ているのを見つけて火を押し当て、正体を暴いたが、親孝行のためと知って一度だけ許した。半年後、和尚が重い風邪で寝込むと、母狸は恩返しに自分の命と引き換えに和尚を救ってほしいと大日如来に願い、板碑に化けたまま戻らなかったという。
原典より
今度は和尚が「はて、ひとつのはずの木魚が二つある」と首をかしげた。—— 大栄町史 民俗編(大栄町) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大栄町史 民俗編(大栄町)
『大栄町史 民俗編』は大栄町の町史の民俗編で、ここに収められているのは第六章「ことばと生活」第一節「伝説」の部分だけである。北総台地にある町内の地区ごとに、源頼朝の鞍掛けの松、城主大須賀氏・伊能氏の話、弁天様と道祖神、狐・狸・河童・大蛇の話、作男や長者の話、古墳の埋蔵金の話などを伝える。伝説は歴史・神仏・動物・人物に関する伝説と「トーカとムジナの話」の五項に分けられ、末項では狐に化かされた体験とムジナの火の話を「〇」の箇条で並べる。