三枚先の田に浮かんだ妻
どんな伝承か
大須賀川の鹿駒橋よりやや川上の田は、踏むと固そうに見えて底が抜けるほど深く、田植えの折には竹を並べてその上を歩いたという。伊能に暮らす仲睦まじい夫婦は貧しく、そうした悪田しか持たなかった。ある春、作業を終えかけたところで妻が竹を踏み外し、泥の底へ沈んで消えてしまう。夫は助け上げることもできず、来る日も来る日も田のふちに立って待った。やがて妻の亡骸は、落ちた場所から三枚離れた田に浮かび上がった。田の下が沼のようにつながっている証しだとされ、この一帯は三枚くぐりと呼ばれるようになった。
原典より
大須賀川に架かる鹿駒橋の少し上流の田んぼは、表面は固く見えるが下は軟らかくて深いため、田植えをするときには竹の棒を敷いてその上を踏みながらしたといわれる。—— 大栄町史 民俗編(大栄町) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大栄町史 民俗編(大栄町)
『大栄町史 民俗編』は大栄町の町史の民俗編で、ここに収められているのは第六章「ことばと生活」第一節「伝説」の部分だけである。北総台地にある町内の地区ごとに、源頼朝の鞍掛けの松、城主大須賀氏・伊能氏の話、弁天様と道祖神、狐・狸・河童・大蛇の話、作男や長者の話、古墳の埋蔵金の話などを伝える。伝説は歴史・神仏・動物・人物に関する伝説と「トーカとムジナの話」の五項に分けられ、末項では狐に化かされた体験とムジナの火の話を「〇」の箇条で並べる。