仏壇の前で詫びた少年
どんな伝承か
十二月十五日、三度目に訪れた母は少年の変わりようを語った。施術の後は人が変わったように素直になり、学校から帰るとすぐ机に向かう。兄が奇跡のようだと驚くほどだった。とりわけ妹への態度が改まり、怒鳴ることも殴ることも止んだ。ただ一度だけ腹を立てて手を上げかけたが、そのまま手を下ろして二階へ上がった。ほどなく降りてきて、亡父の位牌を祀る仏壇の前に座り込む。目の前が暗くなって倒れかけたので詫びたのだと答えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽)
『變態心理と犯罪』は、雑誌『變態心理』を主宰した中村古峽による変態心理学の論集である。二重人格・夢遊病・狐憑き・神隠し・催眠術を心理学の立場から解き、大本教・天理教・金光教の神懸りを妄想や人格変換として退け、霊能を称する火渡りや針刺しなどの実験の種を明かす。終わりには迷信や二重人格のからむ大正期の犯罪事件の実話を収め、著者自身の被験者や綾部の大本教訪問の見聞も例に引く。