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爪から出入りする魔所の精

所在地高知県長岡郡大豊町岩原
年代弘化元年2月12日
登場野島馬三郎、植田十蔵、惣宰
出典二つの怪奇な心霊現象

どんな伝承か

大乱闘の末、狂乱者を全て搦め捕り、正気に返った者を阿弥陀堂の境内に端座させて吟味した。すると正気に返った百姓の一人が突然『あいつがまた私の左手の拇指の爪から入って来た』と叫んだ。見ると皮と肉の間に梅の実ほどに膨れた箇所があり、腕を握って絞り出すと、いつの間にかそれが消えた。当人は『爪先から出た』と喜ぶ。足の爪や小指から入ったという者も次々現れた。膨れの正体は掴めなかったが、爪先から出血する者もあり、皆爪の色が死灰色を呈していたという。

原典より

さろ言はれて見ると、成程皮と肉との中間に、プクリと梅置大にふくれ上つた個所があります。—— 二つの怪奇な心霊現象(浅野和三郎・1940年(昭和15年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

二つの怪奇な心霊現象(浅野和三郎・1940年(昭和15年))

『二つの怪奇な心霊現象』は、浅野和三郎が著し、心霊科学研究会が昭和十五年に発行した記録で、昭和二十七年に再版された。前篇は弘化元年、土佐国長岡郡豊永郷岩原村で村人六十四人が狂乱し、祈禱が効かず藩の役人が空鉄砲と犬で取り押さえた事件を、野島通玄の記録『甲辰奇怪記』の現代語訳で紹介する。後篇は山梨県北巨摩郡穂坂村の旧家の娘かね代に曾祖父横森市兵衛の霊が懸かり、盗まれた不動明王の掛軸が戻った因縁を、著者の調査と甲州訪問記を添えて述べる。

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