天狗のお能
どんな伝承か
諸戸の人が妙義の山へ鉄砲撃ちに出かけ、タルワキの沢の奥の岩場にしゃがんで獲物を待っていた。夕暮れどき、どこか遠くで祭りの囃子をしているような、かすかな音が聞こえてきた。どこかは分からない。近くの祭りの音が妙義の岩に当たって跳ね返ってきたのかとも思われた。そこは白雲山と金洞山の間にある低い山で、白雲の側に属する山だった。今は禁猟区だが、昔は入ってよい場所だった。土地ではこの音を「天狗のお能」「天狗のシャギリ」と呼んでいる。
原典より
晩方だったがどこか遠い所でお祭のシャギリをやっているような、かすかな音が聞えた。—— 妙義町の民俗――伝説・怪異(群馬県民俗調査報告書 第25集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妙義町の民俗――伝説・怪異(群馬県民俗調査報告書 第25集・群馬県民俗調査報告書)
『妙義町の民俗――伝説・怪異』は、群馬県民俗調査報告書第二十五集『妙義町の民俗』のうち、年取りの習俗と口頭伝承を収めたものである。上高田・菅原・大久保・中里などで聞いた、お菊さま・一山和尚・爪引き地蔵、天神様や弘法大師ゆかりの石・井戸・池、大桁山や妙義山の天狗と大蛇の伝説と、屁の名人へっぴり関の話、死の知らせや火の玉、化かされた話などの世間話を収める。口頭伝承は昔話・伝説・世間話と怪異・諺と謎に分かれ、各話の末に聞いた土地の名を添える。