見沼のほとりで笛を吹く女
どんな伝承か
見沼が干拓される前、夕暮れになると笛を吹きながら歩く美しい女が現れ、その音に誘われた若者は次々と村から姿を消したという。噂は都にまで届き、正体を見極めようと屈強な武士が沼のほとりに来て女に斬りかかった。たちまち雷が鳴り嵐となったが、翌朝その場には竹の笛が一本落ちていたので、武士はそれを神社に納めた。数年後、一人の老女が訪れて笛を吹かせてほしいと頼み、神官が妙なる音に聞きほれて眠り込むうちに、老女も笛も消えていた。そのとき神社から美しい雲が天にのぼり笛の音が聞こえたと農家の人が語ったことから、笛の主は見沼の竜神の化身だと噂された。
原典より
その翌朝、その場所に行って見ると一本の竹笛が落ちていた。—— 浦和市史 民俗編――伝説(浦和市(編)・浦和市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
浦和市史 民俗編――伝説(浦和市(編)・浦和市史)
『浦和市史 民俗編――伝説』は、浦和市史の民俗編のうち、第十章「伝説」を収めた部分である。調神社の片目の鯉や兎を飼わない言い伝え、日蓮上人の駒つなぎのケヤキ、見沼の竜神や笛、別所沼の大蛇、地名や塚の由来、特定の作物や弓矢を忌む家の言い伝えなど、市内に伝わる伝説を集める。旧市部から西浦和まで地区別に節を立て、見沼の伝説は一節にまとめ、章の初めに『埼玉県伝説集成』などの引用文献を掲げ、話のあとに▽印で異説や由来を補う。