山男と一つまなこ
どんな伝承か
住居附では、山の怪しいものの話がいくつも語られている。鍋割という官林には一つまなこ、つまり一つ目入道が出たことがあった。同じ鍋割で山男から杯をもらった人がいて、人に見せるなと言われたのにうっかり見せてしまうと、杯は熊ん蜂の巣のようなものだった。別の伝えでは盃をくれたのは山姥で、見せた人は間もなく死んだという。笠丸には昔、山男がいるほら穴があり、外からは話し声が聞こえるのに入ってみると一人しかいなかった。炉ばたに菜の種をまいて団扇であおぐとたちまち育ち、それを煮てふるまってくれたという。
原典より
一ツ目入道が鍋割りという官林に出たことがあった。—— 群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書)
『群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異』は、上野村で行われた民俗調査の報告のうち、聞書と俗信の部分を収めたものである。川和・住居附・野栗・奥名郷・勝山・野栗沢などで聞いた講、病気の呪い、雨乞い、禁忌と兆、山の神とオコジョ、オサキや狐つき、狐やむじなに化かされた話、一ツ目入道や山姥を、話者や部落名を添えて記す。上野勇の聞書と、昭和二十三年に東部の部落を調べた関口正の報告が入り、井田安雄の「乙父の民俗」は書き出しだけが載る。