長良神社と大沼の大蛇
どんな伝承か
瀬戸井の長良神社は藤原長良を祭る社で、もとは赤岩の鎮守だった。昔、赤岩の先には大沼があり、いまもボッケと呼ばれる、地面の揺れ動く所が残る。その沼に棲む大蛇が毎年娘をさらって村人を苦しめたので、桐生まで来ていた長良に退治を願い出た。弓の名手の長良は御殿女中のおさよ殿を伴っており、大蛇の両目を続けざまに射抜き、寄ってきたところを刀で刺し殺した。大蛇は十八に切り分けられ、頭は瀬戸井に、残りは舞木など十八の社に祭られた。これを十八長良といい、長良神社の正体は蛇だとされる。のちに氏子の相撲で瀬戸井が赤岩に勝ち、最も大きな長良神社を瀬戸井へ移したと伝わる。
原典より
弓の名人で、たちまち大蛇の片目を射て、もう片方の目も射てつぶし、近づく所を刀で刺して殺した。—— 千代田村の民俗――伝説・世間話(群馬県民俗調査報告書 第14集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
千代田村の民俗――伝説・世間話(群馬県民俗調査報告書 第14集・群馬県民俗調査報告書)
『千代田村の民俗――伝説・世間話』は、利根川沿いの千代田村で行われた民俗調査の報告から、言語伝承の章を中心に抜き出したテキストである。赤岩・舞木・瀬戸井・福島などで聞いた長良神社や光恩寺、片目の白蛇、カクレザト、河童の伝説と、オトカ(狐)に化かされた話、大食・大力・変わり者の世間話、諺や洒落を、採集した集落名を括弧で添えて短く記す。冒頭には正月の松飾りと大晦日の行事の記事が、途中の文から始まる形で残る。