光恩寺の問答に敗れ入水した修行僧
どんな伝承か
光恩寺は弘法大師が開いた寺で、大師は優れた弟子を後に残して立ち去った。何年か過ぎて、本山から諸国修行に出た僧が訪れ、その弟子と禅問答をしたが、言い負かされてしまった。本山でも敗れ、いままた田舎の坊主にも負けたことを悔しがった修行僧は、利根川のほとりにあった赤岩という岩のそばに赤樫の杖を置き、袂に石をいっぱい詰めて水に入り、そのまま命を絶ったという。
原典より
何年かたって、本山から諸国修業に出た坊さんがやって来て、その弘法大師の弟子の僧と禅問答をしたところ、負けてしまった。—— 千代田村の民俗――伝説・世間話(群馬県民俗調査報告書 第14集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
千代田村の民俗――伝説・世間話(群馬県民俗調査報告書 第14集・群馬県民俗調査報告書)
『千代田村の民俗――伝説・世間話』は、利根川沿いの千代田村で行われた民俗調査の報告から、言語伝承の章を中心に抜き出したテキストである。赤岩・舞木・瀬戸井・福島などで聞いた長良神社や光恩寺、片目の白蛇、カクレザト、河童の伝説と、オトカ(狐)に化かされた話、大食・大力・変わり者の世間話、諺や洒落を、採集した集落名を括弧で添えて短く記す。冒頭には正月の松飾りと大晦日の行事の記事が、途中の文から始まる形で残る。