竜の尾をくわえて昇りかけた淵の河童
どんな伝承か
塩原では、盆に川へ泳ぎに行くと河童に引き込まれ、肛門が開いた姿で浮いてくるから行くなと戒められた。下神梅の渡良瀬川のほとりにはかつて観音寺という寺があり、その下の観音寺ヶ淵には河童と竜が住んでいたという。天に昇りたい河童は、竜神へ毎日ごちそうを運んで頼み込んだ。竜は、自分が昇るときは辺りが暗くなり霧が立ちこめるから、霧に乗る自分の尾につかまれと教えた。数日後、霧の中へ入る竜の尾を河童はくわえて昇ったが、ふとした拍子に口を開けて淵へ落ちた。皿は割れずに済んだ河童は、自分は天でなくこの淵の者だと悟り、昇天をあきらめたと伝わる。
原典より
その下に、観音寺ヶ淵というのがあって、かっぱが住んでいたんです。—— 大間々町の民俗――伝説・怪異(群馬県民俗調査報告書 第19集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大間々町の民俗――伝説・怪異(群馬県民俗調査報告書 第19集・群馬県民俗調査報告書)
『大間々町の民俗――伝説・怪異』は、群馬県民俗調査報告書第十九集『大間々町の民俗』のうち、口頭伝承の部である。大間々町の神梅・桐原・塩原・小平などで聞き取った、赤堀道玄の娘や伊勢ころがし、腰掛石、念仏石などの伝説、スズメとツバメや猿婿、蛙と猿の餅競争などの昔話、狐の嫁入り・むじな・河童・人魂・山犬・あずきとぎの怪異を収める。伝説・昔話・怪異・命名・諺と方言の五つに分け、冒頭に上野勇の所見を置き、多くの条の末に採集地か話者の名を添える。