ツキヌキ沢の湧水
どんな伝承か
昔、弘法様がこの地を訪れ、大桁山に谷が千あるのなら高野山をここへ移そうと考えた。ところが、ある老婆が谷を一つ隠してしまったので、いくら数えても千に足りなかった。弘法様が、谷は必ずあるはずだと言って杖を突くと、その跡から水が湧き出した。そこがツキヌキ沢で、県内でも一、二を争うほど質のよい水が出るので、今は水道の水源地として使われている。行沢には、弘法様が杖を突いた所からよい水が出たという言い伝えもあり、水が豊かで以前は水車も回っていたが、今はタンクから高田まで水を送っている。
原典より
弘法様が、たしかに谷があるはずだと杖を突いたら、水が湧き出した。—— 妙義町の民俗――伝説・怪異(群馬県民俗調査報告書 第25集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妙義町の民俗――伝説・怪異(群馬県民俗調査報告書 第25集・群馬県民俗調査報告書)
『妙義町の民俗――伝説・怪異』は、群馬県民俗調査報告書第二十五集『妙義町の民俗』のうち、年取りの習俗と口頭伝承を収めたものである。上高田・菅原・大久保・中里などで聞いた、お菊さま・一山和尚・爪引き地蔵、天神様や弘法大師ゆかりの石・井戸・池、大桁山や妙義山の天狗と大蛇の伝説と、屁の名人へっぴり関の話、死の知らせや火の玉、化かされた話などの世間話を収める。口頭伝承は昔話・伝説・世間話と怪異・諺と謎に分かれ、各話の末に聞いた土地の名を添える。