旅僧の錫杖が湧かせた塩井
どんな伝承か
安房郡房村神余(現在の館山市神余)に残る井の由来である。ある家に旅の僧が一夜の宿を求めた。もてなす物とてなく、家の者は精のない薄い小豆粥を差し出した。僧はその貧しさを憐れみ、手にした錫杖を地面へ突き立て、そのまま引き抜いてみせた。すると跡から塩気を帯びた水が湧き出したという。家の者はのちにその僧が空海であったと知り、来迎寺を建てて報いたと伝わる。別の記録では、このとき塩の井と醤油の井の二つができたともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男・日本放送協会・昭和25年刊)
柳田国男・日本放送協会編『日本伝説名彙』を全650話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。