一ッ目入道(河童)と浅香庄太夫
どんな伝承か
昔、新羽に浅香庄太夫という怪力の男がいた。ある夜、勝山で夜網を打って魚を捕り、滝の沢の出口で火をたいて暖まったあと、短刀を置き忘れたことに気づいた。探しに戻ると、一ッ目入道がその短刀をいじっている。返そうとしないので取っ組み合いになり、庄太夫は相手をねじ伏せた。降参した入道は勝山まで彼を送り、その目から出る光が提灯のように道を照らした。別れぎわ、入道は小さな巾着を渡し、中の金を使い切らなければいつでも金が残ると告げた。言われたとおりにすると金は絶えなかったが、女房が怪しんで全部使ってしまってからは、もうたまらなくなった。この入道は河童だという。
原典より
さがしに戻って見ると一ッ目入道が短刀をいじっている。—— 群馬県多野郡上野村の民俗 下(群馬県民俗調査報告書 第2集) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県多野郡上野村の民俗 下(群馬県民俗調査報告書 第2集)
『群馬県多野郡上野村の民俗 下(群馬県民俗調査報告書 第2集)』は、群馬県多野郡上野村の民俗を調べた報告書の下巻である。この写しは「十二、講・妖怪・その他」の章だけで、八日見山・峠様・榛名様などの代参講、庚申講、トラ祭りと、勝山・新羽の両地区で聞いた山犬・オサキ・狐に化かされた話・再生・カッパ・オニンババの足跡などの話を収める。お札や庚申塔の写真を添え、近藤義雄の撮影と記す。