山犬の報恩
どんな伝承か
田村吾一という人が信州へ向かう途中、十石峠で馬を崖から落としてしまった。翌日そこを通りかかると山犬様が現れ、何度も口を開けて見せる。のぞき込むと口の奥に白い物が引っかかっていた。取ってくれと頼んでいるのだと思ったが恐ろしいので、噛みつかないなら取ってやると言うと、山犬様がうなずいた。手を入れて引き抜くとそれは馬の骨で、山犬様は喜んで山の中へ駆け去った。次の日に同じ所を通ると鹿が一頭置いてあり、山犬様の礼だろうと語られている。
原典より
見ると馬の骨で、山犬様はうれしそうに山の中へとんでいった。—— 群馬県多野郡上野村の民俗 下(群馬県民俗調査報告書 第2集) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県多野郡上野村の民俗 下(群馬県民俗調査報告書 第2集)
『群馬県多野郡上野村の民俗 下(群馬県民俗調査報告書 第2集)』は、群馬県多野郡上野村の民俗を調べた報告書の下巻である。この写しは「十二、講・妖怪・その他」の章だけで、八日見山・峠様・榛名様などの代参講、庚申講、トラ祭りと、勝山・新羽の両地区で聞いた山犬・オサキ・狐に化かされた話・再生・カッパ・オニンババの足跡などの話を収める。お札や庚申塔の写真を添え、近藤義雄の撮影と記す。