明神の杉に宿っていた大蛇の娘
どんな伝承か
明治時代、立木の明神さまで杉の大木を伐ったことがある。そのころ、川向こうの十四か村の十三枚という所で、美しい娘がけがをして医者に入院した。治療を終えると医者は娘のために一部屋用意したが、娘は寝ているところを決してのぞかないでほしいと固く頼んだ。何日かたって快方に向かったころ、部屋から大きないびきが聞こえてきた。不審に思った医者が約束を忘れてのぞくと、部屋いっぱいに大蛇がとぐろを巻いて眠っていた。この大蛇こそ、明神さまの杉に宿っていたものだったという。
原典より
するとそこには、部屋にあまるほど大きな蛇がとぐろをまいて寝ていたのだった。—— 利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。